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CASE 06導入事例6

半導体不足が招いたEPON端末の調達難

GPONとEPONの併用で
加入営業の機会損失を防ぐ

株式会社 テレビ小松 様
㈱テレビ小松は、石川県小松市をサービスエリアとして1991年7月に開局したケーブルテレビ局です。2005年には能美市にもエリアを拡大し、テレビ・インターネット・電話サービスを提供しています。
北陸地方初となる超高速光インターネットサービスをはじめ、県内初のコミュニティチャンネルのハイビジョン化など、多数の地方・県内初サービスを導入し、常に最先端のサービス展開を行っています。
地域密着を第一に、お客様との信頼関係を大切にしながら地域社会に貢献しています。

INTRODUCTION- BACKGROUND

㈱テレビ小松
営業本部 本部長
兼 技術部長
市来様

導入の背景

㈱テレビ小松ではEPONによる1Gbpsの光インターネットサービスを展開しており、加入も順調に推移していました。ところが、新型コロナ禍を発端とする半導体不足が全世界を襲い様々な電子機器が納期遅延を起こし始めると、EPONの加入者端末の調達にも大きな影響が現れました。EPONは国内主流のインターネットサービスであるため、各通信事業者がそのEPON端末の確保に動き出しました。
いつ解消されるか分からないEPON端末の供給不足を見過すことは、年の単位で営業機会を損失することになりかねません。そこで様々な対策を検討することになりました。その中にシンクレイヤさんから「GPONの併用」という提案がありました。

  • 半導体不足が招いたEPON端末の市場での枯渇が調達を難しくした
  • 半導体不足の出口が不透明であった
  • インターネットサービスに対する営業機会の損失が長期化することを避けたかった
  • テレビサービスとセットでの加入申し込みにも大きな影響を及ぼしかねなかった

EPON端末の供給不足に影響を受けない
対策は何かないだろうか?

供給が安定していた『GPON』を
併用するというプラン

シンクレイヤさんからいただいた提案は、EPONと比較し、半導体不足の影響が小さい『GPON』を併用するというプランでした。この提案の概要は、現在EPONにて提供しているインターネットサービスの一部をGPONに切り替え、既存加入者宅内のEPON端末をGPON端末に交換、回収したEPON端末を新規加入者宅に設置するというものです。「新規加入者に直接GPON端末を設置すれば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。

テレビ小松の事業エリアは『本社センターエリア』『小松サブセンターエリア』『能美サブセンターエリア』の3つに分かれていますが、新規加入者に直接GPON端末を設置する方式では、この3つのヘッドエンドそれぞれにGPON OLTが必要となります。OLTは高額なセンター装置ですから、これでは費用が掛かりすぎてしまい現実的ではありません。
そこで、『能美サブセンターエリア』のみGPONサービスに切り替え、そのエリア内の既存加入者からEPON端末を回収し、ほかの二つの事業エリアの新規加入者宅へ回せば、OLTの新設は一セットで済みます。これが交換方式を採った理由です。EPON端末を早期に新規調達することは困難でも、GPON端末を新規調達するこの提案であれば長期間にわたる可能性のある『営業機会の損失』という事態を回避することができます。
またEPON、GPONどちらの製品もシンクレイヤさん一社から供給が受けられるため、すべてをお任せすることもできます。
しかし、GPONシステムの新設は計画外の投資となるため、経営面での判断も重要でした。

シンクレイヤが提案したプランの概要図

解決すべき技術的課題

『GPON併用プラン』の方向性で検討することにはなりましたが、費用面をいかにして抑えていくかも重要な課題でした。まず計画外投資となるGPON OLTの新設については、既存設備の減価償却も順調に進んでいることからクリア可能と判断しました。

次に技術的側面として、GPONを光ファイバーの別心で行うかが課題となりました。別心化すれば工数も増え、工事費が上がってしまいます。そのため、できれば既に使用している光ファイバーをそのまま利用したい。当社では、放送用に1心、インターネット用に1心の計2心を使用していましたので、その中でGPONも運用できれば良いわけです。

これは『波長多重』という技術で解決できますが、放送とEPONのどちらの光ファイバーにGPONを多重するかが鍵となります。EPON用の光ファイバーへの波長多重は、多数の10G-ONTを加入者宅に設置することになり、端末コストが嵩みます。そこで波長が重ならない放送用の光ファイバーへ多重することになりますが、これも全く問題がないわけではありませんでした。放送用の受信端末であるV-ONUにGPONの波長が入り込むと、放送に影響を与えることが分かっていたからです。

既設光ファイバーを利用した波長多重の図解

『WDMフィルター』で課題を解決。
1心5波まで多重可能に

しかしこの課題は『WDMフィルター』をV-ONUの入り口側に設置し、GPONの波長を分離することで解決が可能でした。もちろんWDMフィルターを設置することで機材費や工数も増えますが、別心で運用することに比べればコストは大きく抑制できます。

ここまで様々な方策を検討してきましたが、結果として『能美サブセンターエリアのみGPON運用に切り替え、EPON端末を回収』『WDMフィルターを用いた、放送とGPONの波長多重により既設のファイバーを有効利用』というプランを採用することになりました。

また、将来的な10Gbpsサービスの運用も加味し、GPON OLTの導入に際しては『XGS-PON』のコンボカードを採用することにしました。これにより、放送用の1波長とGPONの送受で2波長、それに加えて将来的なXGS-PONの送受で2波長、計5波長が1心で伝送できる設備となり、将来的な10Gbpsサービス拡充に向けた先行投資の一面も併せ持つことになりました。

GPON導入前後のシステムイメージ

営業機会の損失を最短で回避

さて方針は決まりましたので、あとは実行に移すのみです。ここで決断が遅くなってしまえば、営業機会の損失期間が長くなってしまい、今回のプランのメリットも薄れてしまいます。

シンクレイヤさんから2月に提案を受けて3月に発注、6月にはGPON OLTの設置を完了し、7月から端末の交換作業を開始しました。この時点でもEPON端末の供給量不足問題は解決の目途さえ立っていなかったため、迅速に良い判断ができたと感じています。何より申し込みくださるお客様に対しての影響を最小限に抑えられたことが良かったと思います。
2023年3月末現在、GPON端末への交換は3割程度終えており、回収したEPON端末をキッティングし、別エリアの新規加入者宅に設置することができています。

能美サブセンターに
設置された
GPON OLT
導入したGPON端末
SGP100B
OUTRO
まとめ

新型コロナ禍は世界中の経済に影響を与えましたが、逆に巣ごもり需要などの新たなビジネスチャンスも生まれ、当社でも重要なサービスのひとつとして位置付けているインターネットサービスに注目が集まりました。情報通信サービスに加入されるお客様は、一度他社に取られてしまうとなかなか取り返すことが難しいものです。逆に言えば、一度加入していただければ長期にわたってお客様でいていただけます。
EPON端末の供給量が不足して困っていたのは私たちだけではなく、競合他社となる通信事業者全体が困っていました。そのような折、普段からお付き合いが深く、また高い技術力をお持ちのシンクレイヤさんから良い提案を受けられ、このようなピンチを逆にチャンスに変え、迅速に対応できたことは今後のプラスに繋がっていくものと考えています。

当社は2021年7月の30周年に合わせて新社屋に移転しました。これからも地域住民の皆様に喜んでいただけるサービスを模索しながら、社員一同、地域発展に尽力してまいりたいと思います。

インタビューに
ご協力くださった
㈱テレビ小松
代表取締役社長 縄様
利便性と将来性を
考慮した新社屋の
センター設備をご案内
くださる市来様

取材協力

株式会社テレビ小松
〒923-0918 石川県小松市京町86番地
webサイト:https://web.tvk.ne.jp/

当該記事の内容は取材当時のものです。(2023年3月取材)