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CASE 02導入事例2

ケーブルテレビ網を活用して、
住民が安心して
暮らせるまちづくりを

FM告知放送システムで、
使いやすい防災行政情報伝達システムを実現

高知県黒潮町
黒潮町は「人が元気、自然が元気、地域が元気」を合い言葉とし、平成18年3月20日に「大方町」と「佐賀町」が合併し誕生しました。 大方地域では農業が、佐賀地域では漁業が盛んです。特に佐賀地域の「土佐かつお一本釣り」は日本一の漁獲量を誇っておりカツオの町としても有名です。 入野海岸でのTシャツアート展やはだしマラソン、佐賀地域でのアクアスロン大会などの海を活用したイベントも多数おこなっています。 また、南海トラフの巨大地震による津波高は、日本一となる34メートルの想定が出されており、町民一丸となり防災対策に取り組んでいます。

INTRODUCTION- BACKGROUND

高知県黒潮町
情報防災課
課長補佐
酒井 真哉 様
高知県黒潮町
情報防災課
小橋 正裕 様
(株)フォステクノ四国
ITビジネス事業部
担当部長
安藤 大受 様

導入の背景

高知県黒潮町は、旧大方町と旧佐賀町が合併し平成18年に誕生しました。行政情報や防災情報の伝達手段として、旧佐賀町地区では防災行政無線が整備済みでしたが、旧大方町地区では未整備でした。住民の皆さまに安心して生活していただくために設備の拡張は必須のものでありましたが、高い拡張コストが課題となっていました。また、屋外拡声器を用いた従来の手法だけでは、拡声器近くの住民にはうるさく、反面、遠くにお住いの住民には聞こえないといった課題もありました。
その様なおり、地上波放送のデジタル化の話があり、黒潮町ではいわゆる「地デジ難民」が多く発生することが調査で分かりました。また、インターネット回線もADSLサービスしかなく、住民の皆さまが快適にインターネットを利用できる環境が整っていませんでした。
つまり、住民の方々が生活のために必要である「防災行政情報」「テレビ」「インターネット」といった、情報を入手する手段に大きな課題がありました。

  • 防災行政情報を全域に伝達する仕組み構築は必須のものであった
  • 防災行政無線を全域に拡張するには高いコストが必要
  • 屋外拡声器は、音声の届き方にばらつきがあった
  • 多くの地デジ難民が発生する懸念があった
  • 光回線によるインターネット環境が遅れていた

防災行政情報を全住民に伝達でき、
かつ、他の課題も同時に解決することはできないだろうか?

解決策として辿り着いたのが
「ケーブルテレビ」と
「FM告知放送システム」

これらの課題を個別に対応するのではなく、総合的に解決する手段としてFTTHによる「ケーブルテレビ事業」を町で運営することが決定されました。そして縁あって、防災行政情報の伝達システムとしてシンクレイヤさんのFM告知放送システムを導入することになりました。

FM告知放送システムの導入にあたっては、各ご家庭に設置される屋内の告知放送端末が、災害の際には取り外して避難所に持ち運べることが好ましく、また、これまでの防災行政無線と同様、屋外拡声器にも対応していることが必要でした。
シンクレイヤさんのFM告知放送システムはこれらの要件が満たされており、黒潮町内のほぼ全戸である約5,000世帯に設置しました。

「FM告知放送システム」により、
行政情報の伝達に関わる
利便性が向上

告知放送端末が屋内設置型なので聞こえやすくなりました。また録音機能もあり、不在時の放送も後から確認できるので、より情報が伝わりやすくなりました。さらに操作性も一般のラジオに近いので、高齢者の方でも扱いやすいというのも良いところです。

導入当初の告知放送端末
AFM-410C
※現在も運用中
現在の告知放送端末
AFM-610C
町が住民に配布した
『マンガでわかる告知放送』

次に、地区放送に関する手順が減ったこともメリットのひとつです。これまでは行政情報を発信する場合、まず地区長さんに放送内容をお伝えし、その地区長さんから地区の住民に放送してもらうという手順が必要でした。それがシンクレイヤさんのFM告知放送システムでは、各受信端末にアドレスが割り当てられるので、町から地区を指定してその地区にのみ直接放送ができるようになりました。

またアドレス設計も柔軟に行えるので、例えば二つの地区を同時に放送したいと言った場合でも対応できます。これも良い点のひとつです。今では日常的に地区ごとの情報を各地区長さんが携帯電話などから登録して発信されているようです。

そして緊急時での運用を考えると、電池でバックアップされているので停電時でも情報伝達できる点も大きいです。

実感した緊急時の
「FM告知放送システム」の
有効性

緊急地震速報としてFM告知放送システムが起動したのは、2014年(平成26年)3月14日深夜に発生した伊予灘地震の時であったかと思います。
当時情報防災課長であった現黒潮町長の松本 敏郎は就寝中だったそうですが、最大音量で放送された緊急地震速報で目が覚め、地震に対して身構える時間的な猶予ができたと話していました。そしてその体験を通じ、「やはり緊急放送に対応した告知放送システムは、我が町に必要だ」と改めてその必要性と有効性を実感したとのことです。
地震以外にもJ-ALERTからの情報には対応していますので、有事の際は住民を守ることに大いに役立つと思っています。

OUTRO
まとめ

シンクレイヤさんの「FM告知放送システム」は運用する側、利用する住民の側、どちらにとっても使いやすいと思います。導入から約10年が経過しましたが、経年劣化による故障も少なく安定して動作しており、安心です。

2012年の内閣府の公表で「日本で最も高い津波が来る町」として知られることになった黒潮町ですが、これからもFM告知放送システムをはじめ、様々な防災施策を組み合わせて住民の皆さまが安心して安全に暮らせるまちづくりに努めてまいります。

取材協力

高知県黒潮町
〒789-1992 高知県幡多郡黒潮町入野5893番地
webサイト:https://www.town.kuroshio.lg.jp/

当該記事の内容は取材当時のものです。(2022年5月取材)